あの時のわれりゃレポート@重松まり絵 2014 2014年08月29日 今年もイベントが終わったと同時に秋がやってきた。一週間たって振り返ると、ついこの間のはずなのにもうずっと前のことのように感じます。私は今回も去年と同じ場所に大きな絵を飾らさせて頂きました。去年は「自然をみつめ直す」というテーマで、「風」という絵を描きました。作品というのは気をつけても作者の気持ちが入り込んでしまうものなのかもしれませんが、私は自然をみつめていると、人の気持ちで表せるものというより、その外側にあるものがそれなんじゃないかと思い、なるべく感情を込めるんじゃなくて「風」のそのものを描きたいと思いながら描きました。今回は全体のテーマが「あの時のわれりゃ」だったので、去年とは感覚的に逆だったように思います。自分の昔を思い出したり、この世を俯瞰してみたようなあの時を想像してみたり、タイムスリップするような物語を作ろうかと思ったりしながら、自分の中から作り出さなくてはいけないものでした。思えば今まで描いてきた作品の多くは、自分の中から作り出すような感覚はなく、自然や体験の感覚を残すような気持ちで制作してきました。「あの時のわれりゃ」を描くときにはどうしても自分の中から出すような作りかたにするしかないと思ったので、この違いが自分にとってなかなかすんなりとはいきませんでした。そうした葛藤もありつつ出てきた作品が今回の「わらべうた」でした。現在から見た小さい頃の思い出をカッパや天狗に表してもらった作品です。私はもう年齢的には十分大人ですが、この絵を描いていくことは大人になることのような気もしました。一方で描いている時には子供に戻れたような気もしました。「あの時」を作ろうと思って過ごすことは決心することなのかもしれない。いろんなことがあって、いろんな情報がある中で、自由でいたいことと停滞してしまうことが紙一重なのかもしれない。そんなことも思いました。そして、「あの時があったからきっと大丈夫だ。」と思い出すことのできた2014年夏でした。自分ひとりではでてこないような作品や考えが生まれることがこのプロジェクトの面白さだなと思います。4年続けてやっと少し、グループ展の意味が見いだせたような気がします。いろんなことは思えど自分の作品には満足いかなかったので反省してこれからも頑張ろうと思います。来てくださった方、支えてくださった方、本当にありがとうございました!重松まり絵 PR